人類はいずれ肉体を捨て精神世界で生きる。一昔前こんな事を言おうものなら頭がおかしくなったと思われただろう。しかし、今はありえるかもに変わってきた。
仮想空間は技術の発達によりリアルに近づきつつある。VRは360度どころか装着した状態でどこを見まわしても必ず景色が広がっている。まさに仮想現実を体験できるのだ。ここに接触感覚が加わればもう超現実と言えるようになる。実際にそこにも着手され特殊なスーツや特殊な環境を生み出す部屋も開発されつつあるようだ。コロナで海外旅行に行きたくても行けない人にとってはきっと素晴らしいグッズになると思われる。もちろん、現実とは違い実際に行って良いも悪いも経験できる事は違うだろうが、例えばその場所のベストな状態を再現してくれるなら天候に左右されやすい景色、例えば気まぐれなオーロラがいつでも見れるとか雨や雪で寒い思い、灼熱の太陽を浴びて日焼けを気にすることもなく真っ白な砂浜にどこまでも続く天国のようなビーチの景色を眺めていられる歩ける等メリットは大きい。何よりも時間もお金もそんなにかからないはずだ。もちろん宇宙や別の星にも行ける。あるいは理想的な創造の未来世界や想像上の天国にも行ける。男にとってハーレムのような美女だらけの世界、その逆で女性にとっていけ面だらけの世界もありだろう。これらは娯楽の世界で現実がすさんでいると、この世界にのめりこむ人もたくさんでてくると思われる。 既にVRのゲームではそこにはまって疑似体験で様々なサバイバルやアドベンチャーが展開されている。
ビジネスの世界では、そこまでリアルでなくとも2次元的な空間で必要最低限のファイルやシステムで処理すべき事象を遠隔で行う。自分の代わりのアバターが名刺代わりになって仕事を行うようになるらしい。既にバーチャル世界では仮想通貨であらゆる商品売買が行われているらしい。そこにAIが入ってくれば放っておいても自分の代わりに間違いなく何でもこなしてくれる。AIアバターが自分の代わりに通貨を稼いでくれる。
考えてみればコロナ禍で自宅のPCや携帯と会社のPCあるいはクラウドにつなぐ事で既にメールやチァット、ズーム等のシステムで仕事をしている訳で、意識せずともネットという仮想空間、一種のメタバースを経験しているといえる。
さて、心配になるのはそんな夢の世界と現実のギャップに人は冷静さを保ちバーチャルとリアルのバランスがとれるのかという事。例えばバーチャルの世界で戦争や争いで人を傷つけたり殺害する等好き放題しているとそれがリアルでもエスカレートして犯罪が増えるとか。バーチャルでは理想の異性に会い何でもいう事をきいてくれるのにリアルでは否定や拒否をくらうと許せなくなる等。これはリアルの世界にアンドロイドという理想の異性ができるとリアルな人との恋愛がうっとうしくなり、最後は理性を失ったり悲劇を招くといったストーリーになりそうだ。自分は大丈夫と鷹をくくってはいられない。バーチャルとリアルの区別がつかなくなる、そんな世界が間近に迫っている。
メタバースが良くなればなるほど人はバランスを取るためによりシビアなリアルで生きねばならなくなる。何故なら自然や生身の人間と触れ合ってはじめて人は他者や生きる意味を理解できるからだ。