ご存知日本の象徴であり、日本一高い山。富士山が見える家はそれだけで家相が良いなんて聞いたこともある。天気が良ければ北は福島から西は和歌山まで見えるらしい。関西の人が新幹線で東京に来るときに車窓から富士山が見えるととても幸せで嬉しいという話を聞く。そう富士山は昔から日本人に大事にされ愛されてきた山であり、今後も人が壊さない限りそれは変わらないと思う。日本は狭い土地に多くの山、山脈があってそれは神格化されてきた。修験者(山伏)は十字を切って(結界を張って)山に入り修業を積む。仏教の千日回峰行もひたすら山を歩き続ける。山には本来人が持っている霊性を高める何かがある。何年か前に長野と岐阜の境にある御岳山が爆発した。この山は昔から信仰の山で修業を積んだ聖者や修験者でなければ登ってはいけない山だった。今は木曽路もトンネルや舗装道路が増え車であれば時間もかからず快適に御岳山の中腹までは行ける。私も父を連れてそこまでマイカーで上がったことがある。霊山と聞いていたので、正直その観光地化したギャップに驚いた。何とスキー場があってリフトで中腹まで登れる。しかし、今でもその時の感覚を覚えているが、ここから先、上へは安易に行かせない寄り付かせないという威圧感と恐怖を感じた。ガスっていたのもあったと思うが頂上付近は雲が立ち込め、ときおり見える厳しい外形から地獄の一部を見せられたようなそんな空気が立ち込めていた。その時父は何故かいつか自分が亡くなったら、その遺影を持ってこの山に登ってほしいと言った。それから2年後に噴火があって登山者に犠牲が出た。幸い父は今90半ばを超えても元気でいてくれるのでその約束を果たさずに済んでいる。さて日本は神の宿る国といわれる。山は深い森を創り多くの植物と動物を育む。そして水を溜め川が流れて海に至る途中の多くの土地を潤してくれる。それは正に循環という自然の恵みであり、そんな山には神が宿っているのだ。日本の山の王者である富士山その裾野は樹海が茂り湖も多く広大無辺。実は富士山も霊山で安易に登る山でなく下からあるいは遠くから神々しく眺める崇める山だと思う。最近世界遺産になってから登山者が増えごみが増え荒れていると聞く。流石に行楽シーズン5合目までのマイカー乗り入れが一部出来なくなっている。それでも登山するのであれば富士山に敬意を払い「六根清浄」の意味を心に刻んで感謝の気持ちで登ってほしい。私は中々富士山に登る気になれないのだがいつか登ろうと決めた時はそうして登ろうと思う。富士山は観光で何度も登る山でなく一生に一度登る山、あるいは眺めた時に心の中で手を合わせる宝来山なのだから。